主人公の『五代鬼六』はアーケードにある花屋の二階に事務所を構える私立探偵。
シャーロックホームズ以外のミステリーを心より愛する探偵小説マニア。ロクに依頼もない貧乏探偵にもかかわらず、玉に来る依頼も興の乗らない場合は受けない。それでも生活に困っていないのは、本人いわく「大財閥につながる家系の末裔‥‥」だかららしい。
少女の名は『有坂・ウェバー・メアリー』。
名前から判るように日本人の父と、ドイツ人の母を持つハーフで帰国子女。しかし、外見からも喋り口調からも、ハーフっぽい部分がまるでなし。強いて言えば、日本人の女性と比べ手足のパーツがちょっとばかり大きいぐらいだが‥‥本人に靴のサイズを尋ねるとブッ飛ばされるので要注意だ。
一癖も二癖もあるこのコンビ。
噂に名高い、私立鈴成学園の『UMA研究会』の部外顧問とその部長である。
この学園で失踪事件が発生する。
クィーンのミステリー『スペイン岬』をなぞるように仕掛けられた事件は、まるでこの2人に対して挑戦するかのようだった。が、鬼六の活躍でメアリーの友人『高塚恵利子』とUMA研究会の後輩『持田新之助』を助け出すことに成功し事件は無事解決。
こうして高らかにQED(証明終了の意)を宣言するメアリーであったが‥‥彼女をあざ笑うかのように、新たな失踪事件が発生。保険医『篠宮由香里』と水泳部長『佐倉のぞみ』が相次いで姿を消す。
たんなる失踪事件ではない。
学園内に満ちた悪意と歪んだ愛情の全てが自分へと向けられたものだとわかった時、事件の中心に居るのが自身だったことを悟るメアリー。
古より続く血脈、旧き一族の存亡を賭けたゲームが幕を開ける。