全ては300年前の大戦より定められていた事を、
人々は誰も知らないまま、ゆっくりと破滅の時を迎える。

地上での2年の修行を終え、空中庭園に舞い戻った主人公。
古代の遺跡と共に、超魔導科学により天空に浮かぶ空中庭園は、
主人公の第二の故郷として、2年前と姿を変えず、
優しく、暖かく主人公を招き入れてくれました。
しかし、懐かしい屋敷で主人公を出迎えてくれたのは、
師匠でも、妹のミルフィでもなく、
謎のアフロのおっさんと、奇妙な姿をした生き物でした。

物語は、まだ若い魔術師ウィルが、師匠に命令され、
5人の魔女を育成する事になるところから始まります。

育成により、個々の個性を伸ばし、過程で覚える魔法は、
謎の敵である「ディアボロス」との戦いを有利に進めていく事でしょう。

なぜ主人公が魔女を育てなくてはいけないのか、
なぜ5人の女の子が魔女にならねばいけないのか、
なぜ平和なはずの空中庭園に魔物が出没するようになったのか。
時にはどたばたと、時にはシリアスに、物語は進行していきます。

そは人知の遠く及ばぬ技にて、はるか空に浮かびし不可思議なる巨大な大地なり

メルフィナ魔導ギルド創始者 ディル・E・フォンドベルテ

 この世には、数多くの謎の地、建造物があると言われている。モロク火山に存在するとされる、炎で作られた火焔洞窟、港町メシェの南の海の底に存在するとされる、壮大なる水中神殿、バルトラーム地方の地下深くに眠るとされる、太古の都市など、伝説に語り継がれ、それでも人目に触れることはない場所は数多い。その中でも、その存在を知られ、かつ誕生の謎を誰1人知らぬ場所がある。それがこの、天空に浮かびし地、空中庭園である。
 周囲に強力な結界を有し、風の精霊の力をもってはるか天空に浮かぶその地は、特別に調教した飛竜でのみ踏み入る事ができる。空中庭園にはいくつかの遺跡があり、その中央には古代種イーリアスのものと言われる、壮大な王宮跡が残されているが、その主たるイーリアスは、すでにこの地に存在していない。はるか過去、この地でなにがあったのか、なぜこの地が空に浮かんでいるのか、それはまだ、明らかにされていない。魔導を極めたイーリアスの英知には、人類はまだ、とうてい足元にも及んでいないのも事実だ。しかし、今後の研究により必ず解き明かされて行くであろうと筆者は信じている。探求‥‥それは神が我ら人類に与えられた、唯一にして最強の力なのだ。

-第一章-
空中庭園の成り立ち

 空中庭園は、元々イーリアスの王宮であった事が分かっている。伝承によると、王宮は約300年ほど前、空に上げられた時にはすでに廃墟であったという。さらに、空中庭園がその昔、南半球のストラリア大陸の一部であったという事は分かっている。しかし、南半球に存在するストラリアから、北半球に空中庭園を移動してきた意図や、劇的な環境の変化をどうやって制御しているのかなどは、今後の研究課題である。

 空中庭園の中核は『飛空石』という、風の精霊力を封入した特殊な鉱石により構築されているのが分かっている。この飛空石は、非常に小さな結晶でも、大人数人を楽に浮かばせる事ができる、空中庭園固有の鉱石であり、空中庭園では比較的容易に発見する事ができるものだ。しかし、空中庭園より持ち出すと効力が消える事と、空中庭園側の厳しい管理により、採取は固く禁止されている。

 空中庭園は現在、遺跡として冒険者の憧れの地になっている。それは特殊な条件下でしか到達できない立地条件と、空中庭園独自の神秘性からであろう。ただし遺跡自体は冒険者により調査されつくされ、さらに強力な魔物が存在しないため、比較的安全な冒険が約束されている。しかし、そんな空中庭園にも、未だかつて解かれていない秘密が存在する。それは「封印地区」と呼ばれる、空中庭園の中核の存在である。それはイーリアスにより厳重に封印が施される場所で、古い文献により、空中庭園の全ての管理を行っている場所だと伝えられている。封印地区に施された封印は未だ解かれたことはなく、更に封印地区に行く方法は伝えられていないため、空中庭園最大の謎となっている。

 空中庭園には街が存在する。それはかつて空中庭園を訪れた冒険者が切り開いた街で、遺跡の東部に存在し、飛竜の発着場となっている。人口は約2000人。

-第二章-
遺跡群

 空中庭園にはいくつもの遺跡が残されている。強力なモンスターの存在しない空中庭園は、辿り着きさえすれば幾多の遺跡や宝の眠る、冒険者達の冒険心をくすぐる場所である。そのため、今日まで多数の冒険者が訪れ、遺跡は調べつくされてきた。遺跡の構造などは解明されてはきたが、そのかわりに幾多の資料が失われたのもまた事実である。ここでは現在知られている遺跡の中で、名の知られているものをいくつか紹介しよう。

王宮跡

 かつてイーリアスの王宮であったことは、壁面に残されたレリーフなどで解明されている。しかし、現在では盗掘しつくされ、多数存在していたであろう装飾品や貴重な資料は殆ど残されていない。さらに、空中庭園の全てを統括するための、封印地区と呼ばれる場所が、どこかに存在していることも分かっている。しかし、現在までそこに至るまでの道は発見されておらず、空中庭園最後にして最大の謎とされている。

封印装置

 王宮の東西に、空中庭園を取り囲む封印を生み出す封印装置が存在する。これにより、外部からの進入と、空中庭園の気圧などが管理され、外部からの魔物の進入を拒んでいる。しかし、必要以上に強力な結界の存在理由は、未だ論議の分かれるところである。

神殿

 かつてそこは、祭事を執り行う神殿だったようだ。今でもそこには、かつて存在したであろう、壮大な神殿を思わせる巨大な石柱などが残されている。現存する数少ない資料によれば、身を清めるため、精霊力により水が湧き出る仕組みが存在していたらしいが、現存していない。しかし現在、この地では面白い現象が起こっている。先の精霊力がこの地にはまだ留まっており、更に炎の精霊力と干渉しあい、神殿の中央部から絶えず熱湯が湧き出るようになったのだ。そのため、現在では気軽に使用できる温泉施設として「温泉神殿」と呼ばれ、親しまれている。

 正確には遺跡ではないが、その特殊な状況のため、特記しておく。この湖は本来の意味での湖ではない。人口の池だったものだ。仕組みは未だ解明されていないが、飛空石に水の精霊力を付加された特殊な鉱石により、空中から水が湧き出、その景観を楽しむものだったようだ。しかし、現在ではその力が強まり、巨大な湖となった。なお、湧き出る水は空中庭園の外に流れ出ているのが確認されているが、落下途中で精霊により回収され、空中庭園に還元されている。

古代の遺跡群

 空中庭園にはいくつか、このようなストーンサークルが残されている。このストーンサークルは主に転送円、つまり簡易ワープ装置として利用されていたようだ。しかし、現在ではその機能は完全に停止している。

-最後に-

 空中庭園の存在にはいくつかの仮説がある。1つはイーリアスがその力を誇示するために王宮を空に上げたという説。しかしそれは、空中庭園となった時に、王宮自体がすでに廃墟であったという文献から、反論の声も高い。しかし、もう一つ、面白い仮説がある。それは、空中庭園が捨てられた、というものだ。しかし、仮にそれが本当だとしても、あれだけの設備や結界を有したまま、なにもない遺跡を守る理由が説明できていない。遺跡というものは、なにかしらの理由があり存在するものだと、昔の高名な探検家が言った。人間は謎を解明することで満足感を得る生き物なのだ。魔法の構造の解明しかり、世界の謎の探求しかり、今まで何人もの人の探求心により、少しずつ解明されてきた。やがて空中庭園の謎が全て解明される時が来る。それはもしかしたら、筆者の遠い子孫の役目なのかもしれない。

 

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